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11話 魔法の探求心と、面倒な体力づくりを避けたいというレイニー

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-10-22 12:32:48

 あの伝説の魔術師アストラル・ファルコナーの多重魔法を簡単に操っていたのだぞ? そして魔法でミスリル製の盾を貫通させ、山を吹き飛ばすほどの偉大な魔術師アストラル・ファルコナーを超えるかもしれん。団長は、レイニーの秘めたる可能性に、興奮を隠しきれないでいた。

「あの……これから訓練に参加してみませんか?」

 レイニーの応対がフレンドリーだったので、団長はレイニーに興味を持ち、その能力をさらに引き出してあげたいと思い、誘っていた。彼は、すっかりレイニーが王子だということを忘れていた。

「え? わっ、無理だよっ。俺、体力ないしぃ……軍の訓練についていけるわけないよぅ〜」

 レイニーは誘われてすごく嬉しかったが、可愛く体力がないアピールをした。なぜなら、軍の訓練のイメージが過酷で厳しく、体力づくりがメインだと思っていて、現に目の前で兵士たちが練習場を走らされていたからだ。

 体力づくりや厳しい訓練は避けたいが、魔法の訓練には興味があった。そう、「未知なる魔法の探求がしたい」「でも、面倒で疲れる体力づくりはしたくない」とレイニーは考えていた。

 団長はそれを聞いて、「軍人なのに何を言ってるんだ?」と思ったが……すぐに思い出した。「このお方は、この王国の王子様だった」ということを。(そうだ、王子様を軍の訓練に誘って、参加させるのはまずい……誘うこともまずいだろう。視察、見学ならば……)団長は、内心で冷や汗をかきながら、言葉を選び直した。

 魔術師団長のガードナーは、すっかりレイニーの魅力に引き込まれていていた。

「魔法の常識を理解できると思いますがね。参加と言っても見学ですがどうでしょうか?」

 団長は残念そうな表情で改めて誘ってきた。このままレイニー様を放っておくと、あまりにも魔法の常識を知らなすぎて危険だし、その並外れた能力の高さに目をつけられ、他者に利用されるかもしれないと考えたのだ。

 レイニーは見学なら大歓迎だ、見学といいつつ魔法の練習になったら参加しちゃおうと思っていた。レイニーの顔には、悪戯っぽい笑みが浮かんだ。

「うん。見学なら参加しようかなっ。楽しそうだね〜♪」

 ガードナーは、レイニー様を訓練場に案内する決意を固めた。彼の態度は一変し、レイニー様に対する敬意と畏敬の念がはっきりと表れていた。その厳格な表情には、決意と忠誠が宿っていた。

「レイニー様、どうぞこちらへ」

 ガードナーは丁寧に一礼し、先導するように歩き始めた。彼の足取りは力強く、確固たる信念が感じられた。

 途中でガードナーは手を振り上げ、指示を出す声が響いた。「警護兵、レイニー様のご案内に加わるように!」

 ガードナーは警護兵たちに冷静な視線を送り、「レイニー様の護衛を頼む」と静かに命じた。その言葉に警護兵たちは一斉に敬礼を返し、即座に動き出した。

 レイニー様の周囲に警護兵たちが配置され、その歩みはまるで儀式のように整然としていた。彼らの目は鋭く、常に周囲を警戒しながら、王子の安全を守るために全力を尽くしていた。

♢訓練場視察

 訓練場に到着すると、ガードナーは観覧席へとレイニーを案内した。

「こちらが観覧席でございます。訓練の様子を安全にご覧いただけるよう、結界が施されております」と、ガードナーは丁寧に説明した。

 観覧席に座ると、レイニーの目の前には広大な訓練場が広がっていた。兵士たちは熱心に訓練に打ち込み、魔法の光や剣がぶつかる音が響き渡っていた。ガードナーは少し離れた位置に立ち、レイニーが訓練の様子を見やすいように配慮していた。

 レイニーはその様子にさらに困惑し、「えっと……ガードナーさん、本当にどうしたんだろ? 急にこんなに丁寧に接してくれるなんて……」と心の中で思った。そして少し迷いながらも、「あ、ありがとうございます、ガードナーさん」と口に出して礼を言った。

「何かご質問がございましたら、どうぞお申し付けください」とガードナーは丁寧に申し上げた。その眼差しには、レイニーに対する深い敬意と興味が溢れていた。

 レイニーはその視線に少し戸惑いつつも、「うん、ありがと。えっと、実際の訓練を見せてもらえるのはすごく楽しみだなぁ」と答えた。

 広大な青空の下、王国軍の魔法練習場は壮大なスケールで広がっている。太陽の光が燦々と降り注ぎ、空は澄み渡り、涼やかな風が練習場全体を駆け抜けていた。練習場の敷地は草原のように広がり、一面に緑の芝生が広がる。芝生は丁寧に手入れされ、足元はしっかりと踏み固められているのが見て取れた。

 中央には、訓練生たちが集まり、魔法の技術を磨くための広大なメインフィールドが広がっている。高さ三メートルほどの防護壁が立てられ、訓練中の魔法の衝撃や破片から安全を確保している。この防護壁には、目に見えない強固な魔法の結界が張られており、内部外部からの攻撃や影響を防いでいた。

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